食肉、特にジビエにおいて重要視される血抜きについて
血液自体はそもそもは悪いわけではなく、血液そのものはクセや、臭みがあるわけではないのもで
かといって無味無臭でもなく濃い味わいや旨みを持つものだと言うことを前回の投稿で書きました
肝心なのはその後の処理だと思うのです
もちろん血の抜き方、量によって味わいは変わりますから
残せば残すほどいいと言うわけでもないと思います
そんな味わいの濃い「血」の難点に劣化しやすいという点があります
水分が多いこともあり、血は他の筋肉や脂肪などに比べて劣化が早いのです
筋肉などの細胞はしばらくの間、エネルギーが尽きるまで活動を続けますが
生きている限り体の中を巡り、巡り続けることでその状態を保っている血液が
生命の歩みが途絶えてしまうと共に、その巡りも止まってしまうという事自体が
その本来の味わいや、香りを奪っていくように思います
その変化をできる限り止めてやることが大切なのではないかなと思います
具体的には
酵素の働きや、細菌の増殖、酸化などでそう言った変化が起こるということが
様々な文献などで示唆されていますが
それを止めれる対処の一つに冷やすということが挙げられると思います
鹿や猪は平熱でも38~40度近い体温を持っていて
まして罠にかかったり、山々を逃げ回っている時などはそれ以上に
体温が高くなっていることでしょう
その熱を素早く適切な場所まで下げてやらないといけません
例えば、あなたが今流行りのサウナにいて、もうひと時たりとも
我慢できない!という状態にあるとして
さあ~体を冷やそう!となった時に
うーん、クーラーの効いた部屋で冷やすかぁ、、
とはならないことでしょう、そんなことを言っている友人がいたら水風呂に放り込んでしまいたくなるはずです
そんなわけで(どんなわけで)
我々は氷詰にして急冷するという方法をとっています
もちろん食肉を水につけるということは
著しく味を落とすので
特殊な方法で水を完全に遮断してですが
40度近い体温を、屠殺後即座に氷水にどぶんと漬け冷やします
ジビエの匂いで目立つものに
アンモニア臭などがありますが、そう言ったものが軽減されると思います
お肉の豊かな味、濃い味というのは
主張がただただ強いというのではなく
元々持っている味、良い味を出来るだけ損なうことなく食卓に届けた時の味ではないかなと思います