血、血液、「ち」口にするとたった一音ですが
なんだか不思議に重みのある一音に感じます
私達の体に隅々まで行き渡り、肌の温もりを保ち、酸素を送り届け体の中を巡り続ける
まさに命の液体です
反対に
それが、出ること、抜けることは命がこぼれ落ちることを意味します
何度、鹿や猪の命をいただく瞬間、その血を見る時間を経験しようと、慣れることはなく
その刹那は自分でも心拍数が上がり、口の中が乾くのを感じます
あの赤い色や「血」という響きに
恐れや、恐怖を抱くと同時に、命の温もりや、尊敬にも似た感覚を抱くのは
それが私達にとっても、他の生き物にとっても特別な液体であるからではないでしょうか
さて
今回は少しこの「血」について
お肉の観点から書きたいと思いまいす
野生肉のよく聞く文言として
「癖がない、や、臭みない、から美味しい」
と言ったことがありますが
それはもちろんそうです、癖や臭みといったネガティヴな味や匂いといったものは
(無論これをネガティヴと捉えるかどうかと言う事についても考えなければなりません)
良い味、いい香りといった物より印象が大きく
その味をマスキングしてしまうため美味しさの半減にはつながるでしょう
無い方が良いのは間違いないと思います
話を戻して
この癖や、臭みがないといった事に「血抜き」が肝で非常に大切であるとスタンダードであるぐらい本当によく聞きます
そう「血」です
正しいことではあると思います
血液には様々な役目があり各細胞へと栄養や酸素を送ると同時にそこで生成された
様々な老廃物を回収し肝臓や腎臓といった臓器へ運んだり
肺で二酸化炭素と酸素を入れ替えたりと
本当に特別で、また様々な有機化合物が含まれており吸血鬼目線でなくともまさに栄養満点なわけです
この栄養満点というのはお肉にする上では都合の悪いところもあります
そう「腐敗しやすい」のです、つまり臭みなどに繋がりやすく
だからこそ、「血抜き」が大切だと言われるのだと思います
しかし、栄養満点なんです
腐敗していない新鮮な血や、しっかりとした処理がされた血は
とても豊かな味です
ブラッドソーセージや、ブーダンノワールといった血を使った料理も作ったことがありますが
濃い、まさに味の塊です
ですが腐りやすい
だとすると
適切な処理がされれば
血はある程度残した方が味の濃いお肉になると
考えられます、というかそうです
また抜き方によっても味をコントロールできるということですね
大切なのは
その残した血をどう処理し、どうお肉にしていくかだと思います
(そこについてはまた次回書かせて頂こうと思います)
お肉を作るというのは
一つなぎのチェーンです
どこが切れても繋がりません
全体のこと、買われた先でお料理をしてくださる方の事
様々なことを考えて仕事をしなければなりませんね