生け捕りから解体作業まで
野生動物は通常道路から離れた山の中におり銃や罠で捕獲するのですが多くの場合その場で屠殺、放血されますナイフなどで心臓の少し上の動脈あたりを狙いますが暴れますのでなかなか思うようにはいかないものです。
その後60キロ以上ある(獲物によっては100キロ近い)屠体を担いで山道を降りトラックに乗せて運ぶのですがこれには相当の時間がかかりそうしている間にも体温で肉の劣化は進みます。
処理施設についたら屠体を洗浄し内臓を摘出しますがここまでの作業で早くてもおおよそ2時間から3時間大きな個体の場合さらに時間がかかることになります。
理想的な血抜き温度管理を目指してわれわれが取り組んだのは罠による捕獲のあと個体を生け捕りにして施設まで持ち帰るというものです。
そうすることで狙ったところを一発で刺せるので方血も大変スムーズです。
屠殺前に個体を洗浄することも可能で屠殺、方血、内臓摘出まで20分程度というごく短時間で処理が終わり、すぐさま冷却できるため肉質の劣化を最小限に抑えることができます。
肉にとっては大変素晴らしい方法ですが捕獲する立場としては大変危険な方法です。
オスジカのツノはもちろんイノシシの牙はナイフのように切れますので毎年のように大怪我のニュースは耳にしますし、場合によっては命を落とす方もいらっしゃいます。
オスジカ、イノシシは罠にかかった時点で喜びと同時になんともいえない恐怖も感じますが、命をいただく以上それが対当だからこそ食べ物に対する感謝も生まれるというものです。
しかしこの仕事を続けるためには安全第一。今の課題はいかに安全に生け捕りにするかでこちらも包丁研究と同じく日々考えをめぐらせています。