生け捕り~精肉の流れ
1.山に入り獣道を探す
2.獣道をきめ罠を設置
使用する罠
「くくりわな」を設置します。これはワイヤーや特殊なバネを使い、まず自分たちで「わな」を作るところから始めます。
新しいワイヤーやバネには防錆のため油が塗ってあるなど、金属臭がしますので大きな鍋に湯を沸かし木の枝や葉っぱなどと一緒に炊いて油抜きした後2~3週間山中に放置したりするなどして金属臭が薄くなってやっと設置できるようになります。
山に入る時の服も洗濯には無香料の石鹸を使い香料や匂いの強い柔軟剤などはNG。歩くときもできるだけ山の状態を変えないように気を使います。
獣道
野生動物は警戒心が強く通る道がある程度決まっているおりこれを獣道(けものみち)というのですが、そこは草がなぎ倒されていたり踏み固められたりしていますので見つけるのは容易です。
獣道をみつけたらその道が新しいものなのか足跡や糞などからそれが古いものなのか判断しつつどの道に罠を設置すべきかを考えます。
その時同時に考えておかなければならないのがその場所で獲物を生け捕りすることが可能かということ。
急斜面など条件の悪いところで獲物がかかってしまうと捕まえる側にも危険を伴うのはもちろん暴れたとき個体が傷ついたりして肉質にも影響を及ぼします。
3.毎日の見回り
罠を設置したらその日から毎日欠かさず早朝見回りをします。
4.獣がかかる
野生動物は深夜から早朝にかけて活発に行動しその間にかかることが多く罠にかかった獲物はできるかぎり早く見つけ生け捕りにすることが重要。
これを怠るとわなにかかったまま暴れまわって怪我をしたり悪い場合ストレスなどにより死んでしまったりすることもあります。
死んでしまった個体は品質が低下するため食肉として使用することはできません。
5.生け捕りへ~6.安置~7.洗浄
罠にかかった獣と言うのは非常に興奮状態にあります、そこで放血をしても心臓の鼓動が早く、動き回っているため全身に血が回っており良い結果は得られません。
そこで生け捕りをし一度連れかえり、半日から1日おき落ち着かせ心臓の鼓動がゆっくりになりリラックスしてから放血する事で穏やかな放血、かつしっかりした血抜きが出来ます。
そのため生け捕り後は個体の保管-洗浄を主に行います。
まず捕まえ保管しておいた鹿を解体用の梁につるし、徹底的に全身を洗います。
鹿や猪は普段山の様々な環境で生息しているため体に泥や汚れがたくさん付着していますがここでしっかりと洗い流す事で後々解体していくときに泥や汚れが精肉に付着入り込む可能性をさげ、より余裕のある、より清潔な解体作業を可能にします。 体を洗浄しても水が濁らないようになると次の手順放血を行います。
8.放血
首の付け根にある双頸動脈という血管を狙います、脳に血液送っている血管なので太く素早い血抜きができ、また頂く獣の命を出来るだけ苦しませずに断つ事が出来ます。
生け捕りをすることで生体のまま洗浄することができ、内部に泥や汚水がはいりにくく清潔です。
約5分で終ります。
9.腹だし
血抜きが完了すると内臓を出します、ここからは鮮度、時間との戦いなので出来るだけ素早く行います。腹を開き、気管と直腸を切り(消化器官の上下)内臓を腹腔内から出します。
放血後すぐに内臓出し等の処理手当てをすることでより内臓焼け(内臓のもつ体温や発酵熱で劣化する)等の痛みを最小限に抑える事ができます。
10.氷水で急冷~11.皮剥ぎ
ここで一度洗浄し血を流し、次の工程皮剥きに移ります。
猪の場合はここで一度氷水につけ冷却を行いますが比較的皮剥きが容易な鹿は先に皮を剥きます。
後ろ足を上にして吊るし、上から下にという手順で皮を剥いていきます。
皮が剥けると一度冷蔵庫に移し冷却します。
12.解体
冷却が終了するとそれぞれの部位に大バラシをします。大バラシは大きく枝肉に分けることで後脚、前脚、胴体に分けます。
熟成を行う場合はここで熟成庫に入れ適宜熟成させます。
13.熟成
適切な血抜きを行った肉は長期間の熟成に耐えうることができ、また臭みや味の劣化が出にくいです
専用の熟成機を使う事で温度を一度単位、湿度も1%単位で管理する事が出来
ジビエの先入観を覆すような柔らかさ、味、香りを引き出します
14.精肉~15.パック詰め
大バラシを終えた肉は適宜それぞれにあった熟成期間を経たあとそれぞれのブロックに本バラシ、精肉され、真空パック、冷凍と言う流れになります。
特別な仕様の冷凍設備で瞬間冷凍することで最大氷結晶生成温度帯と呼ばれる(-1度〜-5度)温度帯を素早く通過させることにより解凍時のドリップの量を抑えたり冷凍中の劣化を防ぎ、最高の素材を最高の状態で保管お届けする事が出来ます。